素晴しい日曜日!

バングラデシュの出国に手間取り、インドの入国手続きを終えた頃にはもう日が暮れかけていた。

国境の村ダウキから今日のうちにメガラヤ州の州都シーロンまでたどり着きたかったのだが、今日は日曜日だからバスがないという。やむなくダウキで一泊しようかと部屋を探すが、あいにく村に一軒の宿には誰もいない。それもどうやら今日が日曜日だかららしい。宿が休み? 日曜日?  インドってそんな国だっけ?  入国早々きつねにつままれたようで途方にくれる。

 

旅を始めておよそ100日、ついに今夜は宿無し野宿か? しかしこの村なんだか居心地がよくないようで、いまいちで乗り気になれないでいると、ちょうどそこに仕事を終えて通りかかった親切な入国管理の人たちが声かけてくれた。相談のうえシーロンなら確実に宿があるということで、そこに居合わせた彼の友達の車をチャーターし、シーロンに向かうことになった。

途中でその車の持ち主の彼の家族をひろい、その人達を10kmぐらい走ってから降ろすから、二人とも前に乗って欲しいとのこと。スズキのアルトの前座席にギアをまたいで3人、やってみると意外といけるものである。

そこから向かったのは村の教会。すっかり日の暮れた薄暗い広場には、よくみると着飾った人たちが何組も佇んでいる様子。それはどうも我々のイメージするインドとあまりにもかけ離れた光景で、ここがいったいどこなのか、さっぱり分からなくなる。

しばらく待つと、そこへ彼の奥さんをはじめ女性たちが次々と後部座席に乗り込んてきた。その数なんと7人! 前に座るわれわれも含め総勢10人もの人が、小さな軽自動車に、あたかも手慣れた日常のことであるかのようにすんなりと収まった。そして車が走り出したつぎの瞬間、突然に、はち切れんばかりの、大音量の歌声が響きだしたのである。それは小さな車内いっぱいに響きわたる7人のゴスペルだった。心も鼓膜も車ごと揺さぶるその歌声は、驚きや先入観、喉の渇きや夜の冷気、そんないろんなささいな事を豪快に吹き飛ばし、まるでなにも見えない暗闇のなか、ものすごく柔らかくて分厚い何かに包まれるかのような大合唱だった。ああ、こんな不思議な空間に巡り合うことができたのも、今日が日曜日だったから!

 

カテゴリー: インド   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です